usajii357’s diary

Twitterでは足りない物を載せる用

文章を書く事ー札幌学会の資料を例にしてー

 少し前(といっても4月の話ですが)、KeyPの部屋というラジオに出演しました。それから数ヶ月、KeyPの部屋の犠牲者出演者の集う場所で他の出演者の皆さんとお話させていただく機会を定期的に頂いております。ああいう場に呼ばれてお話が出来る方というのは皆さん面白い方だらけで、お話を聞いているだけで大変楽しいです。夜ふかししてしまうのが問題ですが……

 さて、そんな通話の中で「コイツの文章は面白い」みたいな評価をいただく事がありました。自分の文章を駄作だと判断しているのでかなり意外なお話だったんですよね。文章を書く際にやっている事をお話したら驚かれた(というか引かれた?)事もありました。

 そんなに文章を褒めるなら、この名義で書いた文章の中で一番真面目に書いた「第2回アイマス学会in札幌配布資料『アイマスは宗教なのか』」を例に、私の鈍くさい文章構成を見せて失望させようじゃないか、というノリで書くのがこちらです。この文章は謎テンションで書いているのでこれから紹介する方法を全く取っていません。ご了承を。

 

1. ネタ出し

 まずこれです。当たり前ですがこれがないと書けません。私は全く関係ない事をしている時にアイマスに関する考察が唐突に浮かんでくるタイプの人間なのですが(冷静に考えるとやべえヤツですね)、そういったものを出来るだけストックしておくようにしてます。心に移りけるよしなし事をそこはかとなく書きつくればあやしゅうこそものぐるほしけれ。

 そのストックから膨らみそうなネタを選定する作業をして、ネタを決定します。そうやって選ばれたのが「アイマスと宗教」である辺り、我ながらキマってるヤツだと思います。

2. ブレインストーミング

 こう書くと意識が高そうですが、やっている事は単純です。まずホワイトボードを用意します。最近はペンタブとPCのペイントアプリを使う事も多いです。物理的に「書く」事に意味を見出します。

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 ノリとしてはこんな感じ。真ん中に主題(今回ですとカレー)を置いて、そこから連想されるキーワード(美味しい)を書いて、そこからさらにキーワード(辛い)を繋げていくというもの。赤字で訂正をしたりをするのは朝飯前、何枚も量産することもよくあります。ごちゃごちゃになっている脳みその中を整理していくわけです。整理する事で、「何を書くべきか」「何を主題にするべきか」「章分けをどうするか」等を決めます。例えば今回ですと「アイマスはカレー」を主題にしよう、章として「カレーと曲」「カレーとアイドル自身」みたいなものを立てよう、みたいな感じになります。

 このブレインストーミングの精度が文章精度を左右するといっても過言ではありません。2月の学会の際、数十枚は書いた覚えがあります。

3. 設計図を作る

 2の図はいわば説明書の設計図です。そこから組み立て説明書を作ります。具体的に言うと章ごと、段落ごとに「何を書くのか」を箇条書きにしていきます。先の学会資料であれば資料探しや資料閲覧、論理的な組み立ては全てここで行いました。ここをしっかり作る事で自分の言いたい事を納得させる事に繋がるわけです。

 当たり前ですが、この段階で綻びが出ればブレインストーミングに戻ります。新しい資料が増えたりするとこの綻びが出てくる事があります。実際に先の資料でも数回戻っています。

 ちなみにここまで全て「手書き」です。アナログな人間だと我ながら思うのですが、「書く」という物理的な刺激を与えないと頭が動かないんですよね。

4. 書く

 ここまでくればwordを使用して書きます。勢いでとりあえず完成させます。その「勢い」ですが、真っ白なwordを前にすると手が進まないというよくわからない現象が起きるのでまずは万年筆と原稿用紙を使って数百字書いてしまいます。わざわざ万年筆としている理由は滑りが良くてスラスラ書けるからですね。ちなみに数百円で買ってきたそこらへんの万年筆と百均で買ってきたそこらへんの原稿用紙を使っています。

 冒頭を書き終わったらwordに移し、wordで筆を進めます。勢いで押し切るので数日で終わる事もしばしば。先の資料は3日ぐらいかけた覚えがあります。書き終わったら「必ず」紙で出力して一晩寝かせます。

5. 推敲する

 ここからが本番にして地獄の始まり。出力しておいた紙を「音読」します。そしておかしい部分を赤ペンで修正していきます。ここで大事なのが音読。多くの日本人は母国語が日本語ですので、おかしな日本語を耳で聞くと「違和感を感じる」事が出来ます。これを利用して推敲するわけです。声に出すってすごいのよ。

 さて、そうやって推敲したものをwordに反映させて、紙に出力させて一晩寝かせます。一晩置くことで「自分がどこを直したか」を忘れる事が出来、まっさらな気持ちで次の推敲に望めるといった効果を狙います。そしてまた音読して推敲してwordに反映して出力して寝かせて音読して……とエンドレスに続けます。

 この推敲は文章によって行う回数が極端に変化します。自分語りのようなものであれば1~2回ほど、他の方が絡んでいれば2~3回以上、スピード感を大切にしたい場合は一晩寝かす代わりに昼寝で代用して数回、そして先の資料であれば数十回行いました。

 この行為、とてつもなくしんどいです。自分の書いた拙い文章に添削し続けるわけですのでとても疲れます。最初の数回なんてほぼ真っ赤になります。5回、10回とやっていくにつれて減っていく赤味だけを快楽に行い続けます。ドMじゃん 目安としては、文末表現の修正だけになった回が数回続くまで続けます。

 ちなみにこの推敲という行為ですが、「文章を書く=次に推敲をする」という習慣がついてしまっていまして、Twitter投稿ですら推敲する事が多々あります。ここまで来ると病気か何かでしょうか。

6. 他人に読んでもらう

 査読ってやつですがこれは「出来れば」のレベルです。ただ他人の目に通す事で新たな発見が生まれたり、ミスが見つかったりするのでやれるのであればやります。先の資料に関しては宗教学もアイマスも知らない旧友2人に査読してもらい、大体理解出来るというお墨付きをもらいました。

 文章の確認、というよりも「自分の書いた文章はちゃんと伝わるんだ」と安心するための儀式とも言えます。

7. 公開する

 ここまでやっても私の文章は問題だらけです。ですがそもそも完璧な文章ってなんだよ、という話もありますし、そもそも「締め切り」ってものがありますから提出せざるを得ません。そうやって世の中に送り出していきます。

 先の資料ですと、印刷して会場に持っていくという作業がありました。気分は同人誌でしょうか(同人活動したことないですが)。

 

 こうやって生み出されたのが先の資料であり、私がアイマス学会座談会というものに呼ばれた原因である学会感想文であり、このブログというわけです。

最後に

 この方法は幼い頃に物書き(小説家とかではない)の知り合いに教えてもらった方法です。ここまでがっちりした方法を取っているのは文章で生きているからであって、ここまでしなくても良いんだという事に気づいたのはこの方法がすっかり定着した後でした。呪いか何かかな?

 はっきり言うとこんな事せずに一発で書けるのが一番良いのは自明です。これだけの手順を踏んでいるのも「こうしないと書けないから」という側面が大きいです。修行が必要だなぁ……とつくづく感じます。

 もう一つ言いますと、このやり方は新鮮さを維持出来ない方法です。熟成させて熟成させて熟成させる方法です。以前書いた「学会の感想」や「朝焼けは黄金色の読書感想文」のように「その時の感情」を文章にする時には大幅に工程をカットします。具体的にはブレインストーミングだけで書き始め、推敲を執筆直後の1回だけにしています。

 さらに言えば、この文章はブレインストーミングを頭の中で終わらせて、推敲を一回だけにして世に出しました。たまにこういう事もやります。

 

 さて、私がどれだけ鈍くさく文章を書いているかがよくおわかりになられたと思います。もう少し上手くなりたい、というよりも語彙力が欲しいです。さらに言えばいつか二次創作的なものをやりたいなぁ…という妄想もしている以上、会話調な文章も書けるようになりたいなぁ…と思っていたりはします。

 絵も切り絵も音楽も出来ない私が自己表現する為のツールとして何があるか、という事を考えると「私には文章しかありません」という事になるわけです。下手なりに文章を書き続けるのだろうと思いますがもしよろしくお付き合いいただけると幸いでございます。