usajii357’s diary

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ミリアニ殴り書き感想文

先行上映で見に行ったミリアニがあまりにも良かったので感想文を書こうと思います。

近場の劇場が250kmぐらい離れたところにあることもあって各部1回しか見れていないので、記憶が薄れている部分も沢山ありますがそこは多めに見てください。

 

millionlive-anime.idolmaster-official.jp

 

 

北沢志保の意外な描き方

 

北沢志保という存在は劇場版アイドルマスターにて物語を引っ搔き回すトリックスターのような役割を担っていたこともあって、正直ミリアニでの出番にはほぼ期待していませんでした。出てきて5秒ぐらいじゃないか、ぐらいにすら思っていた節はありました。

そもそもこのキャラクター、描写するのが大変そうです。一匹狼みたいだと思ったら実はそうならざるを得ない割と重い事情があってそれをある程度緩和出来ると仲間思いで年相応な一面が出てくる、なんてものを描写しようものなら一体何話使うんでしょうか。アイドル52人に加えてプロデューサー事務員社長と大量のキャラクターを12話という限られた話数で登場させないといけないアニメにおいて、北沢志保を”描かない”という選択肢はあって当然だと思っていました。

 

それをミリアニは「ある程度何かを通り越した北沢志保を初っ端から出す」事でクリアしてきました。765ASの後ろで既にバックダンサーをやって、可奈ちゃんと「可奈」と呼び、柔らかい表情をする彼女からは、世界線こそ違えど劇場版のようなイベントを経験し、成長したことを感じ取ることが出来ました。

しかし冷静になれば非常に合理的です。北沢志保のあれこれは少なくとも未来、静香、翼の物語から少し逸れたところにある物語。「北沢志保は少し前からアイドルをしている、真面目なクールビューティー」という情報だけで本編を楽しめるような構成にしておいて、既存のプロデューサーには乗り越えた過去を(言い方は悪いですが)勝手に感じてもらうというのは単純に感心してしまいました。

作品の良し悪しを判断する基準や場所は人によって違うとは思いますが、個人的にはこの描写を見てミリアニを信頼してよいと思った、そのくらい印象的な登場でした。

 

 

"輝き"を描く

話を全体に戻します。夢を探していた春日未来、夢を(きっと)諦めようとしていた最上静香、夢になるか偵察しに来た伊吹翼は765ALL ATARSという大きな輝きを受け取ることとなります。ここで出てくる765ASが兎にも角にも格好が良い。文字通りの”アイドル”そのものであって、(これまた世界線が違うのでしょうが)アニメや劇場版といったトラブル・経験を乗り越えて輝く765ASの”今”をこれでもかと感じさせる輝きを感じていました。私も未来ちゃんみたいに目をキラキラさせていたかもしれない。

このライブや、次のオーディションでは”輝き”や”ビジョン”といったものがかなり非現実的な形で描かれていたことが印象的でした。ライブでは未来が輝きに包まれて手を差し伸べられるような(幻覚だったらごめんなさい)姿が、オーディションではプロデューサーはじめその場に居合わせたメンバーがステージ上に居る3人を中心としたミリオンスターズのライブを幻視?する姿が描かれたり。少し先の原っぱライブでも似たような描写がありました。アニメというよりも、演劇や歌舞伎のような印象を受けたことを覚えています。このアニメにおいて”アイドルの輝き”というのは一つポイントとなる要素だと勝手に思っているのですが、それを効果的に表現しようとしているのかと当時は思っていました。実際思い返すと印象深いシーンになっているのは表現の妙としか言いようがありません。

 

あとこのやりすぎにも思える表現方法を見て、私が敬愛して止まない少女歌劇レヴュースタァライトを思い出しました。私はこういった表現に弱いのかもしれません。

revuestarlight.com

 

 

手づくり

 

ステージからの景色を見てみたい、皆で何か早くしてみたい、という想いを胸に未来は「手作りのぶどーかん」ならぬ「手作りの原っぱライブ」を始めようとします。

ここで未来は気持ちが先走って、悪い言い方をすれば周りを振り回すこととなります。あまりにも無茶苦茶なスケジュールだったことでしょう。あまりにも急な話だったことでしょう。桃子のように乗り気でないメンバーが出てくるのは無理もありません。(反対する桃子を上手いことフォローするようなタイミングで口を挟みつつ事実を示していく北沢志保に涙が止まらない、という話は置いておいて)

でもここで未来はその想いを語ることで原っぱライブに向けてメンバー一致団結に導いていきます。未来はその熱い気持ちで、周りを引っ張っていくセンターなんだなというのが伝わってくるシーンでした。

協力してテントを作ったり、イモムシになってみたりしつつ原っぱライブは成功へと向かっていきます。ミリオンのパピオンマークの誕生や、ここまでであまり登場していなかったアイドル達の顔見せ等、演出的にも重要な役割だったのかなと思いました。そして現実においてグリマスからミリシタに移ったことを忠実に再現するかのように、アニメも原っぱからシアターへとお話が移っていきます。このアニメ、あまりにも真面目にミリオンライブに起こった物語を再構築しすぎて一周回って不安になるレベルです。

 

 

静香と志保さん

 

原っぱライブが終わったのが5話。未来はその実力を上げていき、シアターも新メンバーを加えたりと、順調にその歩みを進める一方で静香の物語にも一つ転機が訪れます。志保さんとの一幕ですね。

齢14で背負うには重すぎるものを背負ってしまった二人の会話は(確か)ここが初めてだったと思いますが、独特の雰囲気を纏って進んだという印象です。アニメにおいて志保さんは静香より少し先輩ですから、仲間思いな志保さんからすれば何か言ってあげたい。でも何か言っても素直に受け取るとは思えない(自分がそうだったように)。色々タイミングを見計らったりかける言葉を考えた結果があの一幕だったりすると良いな~と勝手に思ったりしていました。

 

志保さんの父親がある時居なくなったというのは(多分)当初からある設定ですが、ミリシタのカードを見るに父親は”蒸発”であるというのが定説だったように思います。

……やっぱり、かえってこない。ううん。なんでもないよ、お母さん。……しっかりしなきゃ。わたしが、お母さんを助けてりっくんのおせわをして、ふたりをまもるの。強くならなくちゃ……。

アニメでは父親の形見であるぬいぐるみに「見ていてほしい」と語りかけるシーンがありました。一見、死別した父親の形見に勇気を貰うシーンのようです。一方でこれまでの流れを汲めば蒸発した父親がどこかで見ていてくれるかもしれない、とアイドル活動に私情を挟んでいる事を示しているのかもしれません。そもそも志保さんは家族の為とはいえ、お金の為にアイドルとなっています。そんな中放たれた「他の事しか考えていない、ファンに失礼、アイドルに本気になれていない」という言葉。「私も人の事言えない」という、後に呟いた言葉も加えて考えるとこの時志保さんは一体どんな気持ちだったのでしょうか。

 

余談ですが髪型の関係か、意図的にそうしているのかは分かりませんが静香の顔に影がかかり続けているように見えて静香の心情を表しているようで感心していました。

 

 

仲間

 

7話と8話は未来、静香、翼から一体離れてお話が進んでいきます。7話はあまりにも真面目にやってきたミリアニくんが遂に遊びやがった!という変な安心感が勝りました。でも現場猫案件は不安だなぁ……でもミリオンって別世界線だけど宇宙行ったりするコンテンツだしなぁ……でも流石に事故は怖い……いやでもニチアサだし……(一応言っておくと7話割と好きです)

8話では桃子が一皮ぬいで大活躍したお話だったと思います。4話で主人公格に反対意見を上げるという役割を持った桃子がこういった形で活躍してくれるのはお話的にも良かったと思います。ただ著作権とか大丈夫だったんやろか……(汚れてしまった人間の感想)

 

この二話では一貫して”仲間”というものが描かれていたように感じます。集客の為に力を合わせる8話は言わずもがな、7話でも対決ゲームから一転、全員のバトンを繋いでチュパカブラを倒すゴールを目指すというお話はそういうことなのかなと。仲間と共に、手を取り合って、切磋琢磨し、時にぶつかりながら歩んでいく姿はまさしくミリオンライブが示してきたものなのだと思いました。

 

 

函館

 

9話、とっても良いお話です。アイドルという夢を見つけ、周りを巻き込みながら進んでいく未来とそれを微笑ましくも頼もしくも思う春香、念願のアイドルになるも思い悩む静香に優しく声をかける千早さん、そして今まであまり動きの無かった翼にも憧れる美希からの忠告?という大きなきっかけが与えられます。歌織や紬も真や雪歩に伊織の言葉を胸にアイドルとしての自信を深めていくという、良いお話です。

 

それよりもだ、函館が出てきた

何を隠そう、私は道南に住んでいます。函館の中心部には割と行くわけです。ミリアニだって函館まで出て行ってそこから札幌まで行って見に行ったわけです。そんな函館がアニメアイドルマスターミリオンライブに出てきた、という事実に開いた口が塞がらなかったです。心の中で何度「ここ見たことあるwww行ったことあるwww」と思ったことでしょう。ただの地方都市だと思って住んでいた場所が急に聖地になりました。今度巡礼に行こうと思っていますし多分ブログにします。

 

 

最上静香

 

函館の話はこの辺りにして感動の10話に行きましょう。普段涙を流さない私ですが、このシーンだけは目尻に涙が浮かんでいたようです。

”父親”という大きな壁。これを抱える静香に対して脚本は3人のアイドルをあてがいます。仲は良いが過保護な父親を持つ箱崎星梨花、母と弟との仲は良好だが父親が居ない北沢志保、そして弟を亡くし家族が崩壊した如月千早

メッセージ性の高すぎるメンバーですが、思えばこのアニメはずっとこうやってきたのかもしれません。未来には先に夢を持っているモブの子や静香をあてがって夢を見つけさせる。翼には憧れの美希や夢に本気な静香達をぶつけて”本気”を知ってもらう。そして静香には自分のしたい事に真っ直ぐな未来や才能を持つ翼、そして今回のメンバーを当てて親を乗り越えさせる。ミリアニは確かにミリオンスターズとオールスターズのお話ですが、それと同時に未来、静香、翼の物語に他の登場人物達を上手に混ぜていくお話でもあったのかなぁ、とこの辺りで思いました。

そんなメンバーの中、一際輝いていたのはやはり星梨花のお父さんだったでしょう。登場するたびに映画館では堪えられない笑い声が聞こえてくるわ、ネタバレタグを貫通してX(元Twitter)で出てくるわ……重くなりがちな家庭問題の中で笑いを提供してくれた彼は10話の影のMVPだとすら思います。

 

 

繋げて

 

11.12話はライブシーンがこれでもかというほど展開されていきます。正直めっちゃ多くてビックリしていました。最終話まるまる、ぐらいだと思っていたので11話の真ん中ぐらいでライブが始まった時にはそれはもうビックリしました。

Sentimental Venus中に音響が止まるという現実にもあったアクシデントを描写しつつ、流れを止めない、止めさせないという想いがTeam8thに繋がっていく流れを映画館で見ることが出来たのは本当に幸運だと思います。文章ではその輝きは書き残せないような気がするのでここまでで。

 

これから彼女達が歩んでいく道が、輝きで満ちている事を心の底から祈っています。

 

 

まとめて

 

雑多に振り返ったら中々な量になったのですが、何個か書き残しているのでもう少しだけ書いときます。

プロデューサーが良いキャラクターしていた

どんなもんじゃい?と思って見に行ったんですが、アイドルに振り回されて、新人ならではの苦労もしつつ、アイドルと共に成長していく様が好きになっていました。また、チーフも良い先輩していて時間の流れみたいなものを感じていました。

3Dが綺麗

正直3Dで描かれるキャラクターに不安を感じていた節はありましたが、全くの杞憂でした。違和感は正直ほとんど無かったですし、紬のグルグル目のようなアニメ調の演出まで出来るとは……今ではこの3Dが見れなくなることに寂しさすら感じています。

パンフレット

私は元気にパンフレットを3冊とも買ったわけですが、そこに載っている監督インタビューには驚かされました。監督がどこまでミリオンを知っていてどこまで考えてこのアニメを作っていたのか、正直感謝を超えて畏怖の念すら感じてしまいます。監督のインタビューだけは、パンフレットという限られた場所に留めておかず然るべきタイミングで、然るべき場所に世に公開されてほしいものです。

2期

2期があるのかどうかさっぱり分かりません。ですが12話でここまで纏まってしまうとこれ以上を望むのは強欲過ぎるような気もしますし、このまま美しい状態で終わっておいてほしい、という気持ちはあります。ミリシタのアニメ連動イベントを見るに、アニメ後の物語はミリシタの方でやるつもりなのかなと感じられますし。

でも2期見たいな~という期待はしたいです。まだ詳しく描かれていないアイドルは沢山いますし、Team7thトワラーのステージは見てないし、シアターが出来上がってから歩みを進めていくアイドル達を見たいし……円盤買って期待しておきたいと思います。

 

 

 

わざわざ弾丸ツアーまでして映画館で見に行って良かった、そう思わせるような作品でした。正直記憶が薄れている部分は確実にあるのでこれからのテレビ放映がとても楽しみですし、もっともっと盛り上がってくれたら嬉しいと思います。

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